海外での日本食ブームが起き、次々と飲食業・食品業の企業群が海外展開を進めています。
今後、食に関する分野での海外展開はますます盛んになっていくことでしょう。
そして、日本の歴史上最も海外展開に成功した食に関する商品こそ
日清食品が発売する「カップヌードル」であることは間違いありません。
1973年には米国での発売を開始、今では世界80か国以上の国と地域で販売されています。
国外でも「cup noodles」として世界中の人々から愛されているのです。
カップヌードルの開発者は、日清食品の創業者である安藤百福氏。
安藤氏とその家族の物語は、平成30年度後期の
NHK連続テレビ小説「まんぷく」のモデルにもなっており、
インスタントラーメンやカップラーメンの開発秘話が描かれました。
カップヌードルが1970年代という早い時期から海外展開に成功した秘密は、
安藤氏のワールドワイドな視点にあります。
カップヌードルの構想のヒントになったのは米国での安藤氏の体験でした。
安藤氏は、インスタント麺「チキンラーメン」の米国販売を目論み現地への視察へ訪れます。
その際、米国人バイヤーが紙コップにチキンラーメンを砕き、
お湯を注いでフォークで食べている姿を見たことが全ての始まりです。
ラーメンはどんぶりと箸で食べるもの、という思い込みが崩れた瞬間です。
安藤氏は、箸やどんぶりを使わずともいつでもどこでも食べられるラーメンを構想します。
箸やどんぶりといった制約から逃れられれば、
世界中でラーメンを広めることができるということに着目したのです。
カップヌードルは、スタートからして海外展開を見据えて構想された商品だったのです。
世界中のどこでも通用する商品を作る、その障害となる制約を取り除くことを考える。
安藤氏のカップヌードルの開発秘話からは、そうした教訓が伺えます。
国内で完結する商品やサービスではなく、世界にまで視線を広げる。
海外展開は偶然ではなく、広いビジョンを持つ経営者のもとで必然的に
生まれることだということを実感できます。
そして、カップヌードルの海外展開の成功のもう一つの理由が「多様性」です。
現地の人々の好みに合わせ、面やスープの味を調整。
更に、現地の名産品や名物を大胆に取り入れた「ご当地ヌードル」を発売。
人気が出た「ご当地ヌードル」が日本に逆輸入されこれまたヒット、ということもありました。
当地の事情に合わせた多様なサービス・商品展開は、海外展開を実現する上では
ぜひとも注目したいところです。
カップヌードルの大成功からは、ワールドワイドな視点と多様性という2つが
企業の海外展開のキーポイントだということが学べます。