NHKの連続テレビ小説、通称朝ドラといえば日本の朝の定番。
数々の名作から日本を代表する女優が旅立ちました。
そんな連続テレビ小説の歴史の中でも最高視聴率を記録した作品が「おしん」です。
明治時代の貧しい寒村に生まれた主人公の少女おしん、
幼くして女中として奉公に出され、時代に翻弄されながらも懸命に生き抜いていく姿を描いています。
おしんの健気で純真な姿に当時の日本人は心を打たれました。
平均視聴率はなんと驚異の50%超え、日本中でおしんフィーバーを引き起こしました。
名実ともに朝ドラ史に残る、いや日本のドラマ史に残る大傑作として現在でも高く評価されています。
実は、おしんは日本だけでなくアジア圏を中心に海外でも大人気なのです。
おしんは海外展開した日本のドラマの中でも最も成功した作品だと言えるでしょう。
明治から昭和までを描くおしん、舞台は日本国内で完結しており歴史事情の描写も濃厚。
外国人からしてみれば初見では理解することが難しいシーンも多かったことでしょう。
そうしたハンデを乗り越え大ヒットを海外で記録したおしん。
おしんの海外展開での成功の秘密を探してみましょう。
まず最初に成功要因として挙げられるのは、普遍的なおしんのキャラクターです。
貧しさにも戦争にも負けないおしん、苦労は絶えませんがひた向きに生きる
芯の強さを持ったキャラクターです。中国や香港などの中華圏、ベトナムなどの東南アジア圏、
イランやエジプトなどのイスラム圏など様々な文化圏でおしんはヒットしました。
作品を見たどの国の人たちも苦労に立ち向かうおしんの姿に感動を覚えたと語っています。
言葉や文化が異なっていてもひた向きに生きる人間はいつでもどこでも好かれるのですね。
また、おしんがヒットした時期にも注目すべき点があります。
日本でおしんが放送されたのは1983年から翌年まで。
その後、海外では1980年代後半から1990年代にかけて順次放送されています。
ちょうどこの頃、アジア圏では経済成長が本格化していった時期でした。
日本では過去の物語として哀愁を誘ったおしんですが、
アジア諸国では貧困から成長に向かうリアルタイムのヒロインとして受け入れられたのです。
では、おしんの成功からは日本コンテンツの海外展開についてどのようなことが学べるでしょうか。
一つは、文化や政治制度を超える普遍的共通価値観が存在するということ。
いいもの、いい人は世界中でいいと評価される可能性が充分あります。
そして、日本では古くなったモノや制度でも発展途上国では時勢にバッチリハマる可能性があることです。
国内市場だけを考えてきた商品サービスだから、もう一世代遅れた技術だから。
海外展開の話となると、このように考え尻込みしてしまう経営者も多いと感じます。
しかし、おしんの成功はこうした思い込みを打破してくれます。
おしんの海外での成功は、海外展開に対する我々の視野を広くしてくれたところが
最も偉大だと言えるでしょう。