現在の日本では、蚊が媒介する病気は基本的に輸入症例以外発生しません。
それは、感染症と媒介蚊の組み合わせが決まっており、
日本では媒介蚊が生息しないとされるからです。
しかし、アフリカはじめ暖かい地域の海外では、いまだ感染症は重大な問題です。
特にマラリアの広がりは深刻で、蚊は最も危険な殺人者ともいわれる由縁となっています。
そのため、日本では虫よけぐらいの小さなビジネスであっても、
蚊帳を作るビジネスの海外展開は有益であることがいえます。
1980年代に蚊帳が注目され、特に開発に着手し始めたのは、住友化学です
(https://www.sumitomo-chem.co.jp/sustainability/society/region/olysetnet/initiative/)(https://toyokeizai.net/articles/-/1586)。
そのころから、安価で破れにくく、殺虫剤の成分が
何年も長続きするための研究が行われてきました。
1990年の終り頃、2010年ごろまでの間に、WHOや世界の大きな機関が、
マラリアを半減させるという世界のプロジェクトを掲げ、
生産が加速、海外でも有名になっていきました。
海外展開は成功だったと思います。
蚊帳の配布、生産、使用状況のアンケート人員など、
現地のひとの雇用促進にもつながりました。
現在では、日本国内でのほかの企業、海外の企業も、
ほかの殺虫剤を使ったり、素材を改造したりしながら、
蚊帳の海外展開ビジネスを狙っているので、
市場競争は激しくなっているといえるでしょう。
しかし蚊にも殺虫剤に対する抵抗性が出てきたり、
地球温暖化によって分布域が拡大したりしてきたことで、
マラリアの問題はまだ解決したとはいえない状況です。
日本でも地球環境の変動により感染症が発生する可能性がないとはいえないので、
この課題が日本企業の取り組みであることはとても心強いです。
世界の大学や研究機関では、まだ薬剤や蚊についての研究が盛んに行われており、
重要なキーワードの一つであることは間違いありません。
薬剤や新素材の開発には莫大な費用と労力を費やす必要がありますが、
世界のひとを守るという点で、日本としてはとても誇らしく、
意味のある仕事だと思います。また、蚊帳ではなく、ワクチンの開発など、
次のステップに進むことが必要である課題だと思います。
まだ世界では完成していないので、これからの日本企業が成功してくれることを願います。