中国(上海)でラーメン店を開業された経験のある方からお話を伺いました。
7年ほど前に中国(上海)でラーメン店を開業した経験を持ちます。
それまでは商社でサラリーマンをしていたのですが、人間関係から会社勤めに嫌気がさし、
たまたま募集していた東京都内ののラーメン店で修行をして暖簾分けをしてもらい、
都内でお店をオープンするつもりで働き始めました。
30歳を過ぎてゼロからの修行でしたので、自分より10歳も年下の先輩に怒鳴られたり、
人の見えないところで蹴られたり、レードルで頭を殴られたりもしたのは、
涙が出るほど、悔しかったし、辛かったです。
しかし2人の子供と病気がちの家内を抱えているため、歯を食いしばって3年間血のにじむ思いで
修行に耐えました。修業中は安月給でしたので貯金を崩しながらの生活でしたが、
そのラーメン店はラーメン好きなら誰もが知る超有名店。
開店資金の援助制度もあり、いずれ独立も視野に入れて東京での成功は
約束されていたようなものでしたが、以前から同業者のラーメンチェーン店の幹部から
引き抜きの声がかかっていました。
そのラーメン店は数年前から海外進出して大成功している企業でした。
特にアジアでのラーメン店のシェアは群を抜いており他にも海外進出しているラーメン店は
多数あれども、その座は揺るぎないものでしたし、何と言ってもその時の中国は
ラーメンブームで店を出せば成功するという状況でした。
しかもフランチャイズ方式をとっているため、経営をしっかり学んだスーパーバイザーも
いるのも正直魅力でした。私は相当迷いましたし、家内ともなんども相談しましたが、
飽和状態の東京よりも海外進出した方が可能性が広がるということで、
元々の商社マンの血が騒ぎ、思い切ってその会社のフランチャイジーとして独立することにしました。
もちろん経験があるとは言ってもある程度は国内で修行をしてオペレーティングや
マニュアルなどを学びなおす必要がありますが、当然ながらその間は給料がもらえるため、
安定した生活を送りながら修行を続けました。
1年ほどしてようやく現地に言って独立の足固めをする時がやって来ました。
とりあえずは家族は置いて単身中国(上海)に飛びました。
1年間やってダメなら帰国するつもりだったのです。
そうして現地に行って現地ですでに経営しているフランチャイジーの方や、
本部スーパーバイザーの方などに協力して3ヶ月後にやっと開店することができました。
しかし、おそらく立地が悪かったのでしょうか。
開店して1ヶ月しても客足が増えることがなく、焦った私は現地のスタッフと一緒にチラシを撒いたり、
現地の日系企業などに飛び込んで、デリバリーの契約なども取り付けたりして必死に頑張りましたが、
赤字は半年ほど続き、ついには店を閉めることになりました。
どうやら、立地も悪かったのですが、このチェーン店は海外進出した当時は他に競合もなく
物珍しさと日本食ブームが手伝ってか、開店する店は次々と成功していきましたが、
現地での競合店も増え、日本帰りの舌の超えた中国人が増えるとともに
どうやらその味に飽きられてしまったようです。
結局私は1年で借金を抱え、日本に帰国することとなりました。
今は調理の腕を買ってもらい老人ホームでまかない作りをしながら借金を返済し続けていますが、
本当に痛いチャレンジでした。海外では日本食ブームと言われていますが、
ブームはあっという間に終わるのです。
もし、海外で成功するなら、マーケットが成熟する前の早い段階でチャレンジする方が
リスクはなかったのだと感じています。
今後海外進出しようと考えておられる方にはくれぐれも気をつけていただきたいと思います。