水で悩む海外で活躍を

環境ビジネスと一言で言ってもそのジャンルは幅広いのですが、その環境ビジネスの中で、中でも水にまつわるビジネスは日本のお家芸と言える程、大変高度なスキルやノウハウを有しています。
一例で言えば東京都が東南アジアの発展途上国の水道事業を請け負うビジネスを推進しようとしているのも大きな一例と言えます。

つまり、日本では当たり前のように提供されているサービスであっても、他国では容易に真似の出来ない技術やノウハウに依拠している場合が多いのです。
それ故、そうした技術やサービスには当の日本人が気付いていないだけで、実は海外から切望されているものは山のようにあると言っても過言ではありません。

例えば、その一例ですが日本には豊富な地下水が地下に蓄えられていますが、古くは井戸を掘って飲料水や生活用水にしたり、例えば寒冷地はその地下水を道路の融雪に使用したり、あるいはヒートポンプと組合わせることで空調に活用したりと、さすが日本人と言えるのでしょうがこうした自然の資源を生活の中で実に巧に有効活用してきました。

しかしながら、この地下水を活用するには、高度な技術と言うより、長年培われてきた経験や勘と言ったものが必要とされます。いわゆる巧の技です。
にも関わらず、前出の東京都の事例が正にそうであるように水道水事業大国となったことと、地下水の取水によって地盤沈下等が起きやすいといった地理的要因から地下水取水そのものができない地域もある等、そうした巧の技術を活かす機会が国内では限定・制限されるようになってきました。

ところが、諸外国に目を向けると深刻な水不足に悩む途上国は数多くあります。そのような国は降雨量そのものが少ない場合が多く、地下水の有効活用が水不足の有効な対策であることはわかっていても、肝心の経験やノウハウ、具体的にはどこの場所をどの程度掘削すれば地下水を獲得出来るかといった長年の経験に基づいたノウハウ等がありませんので、手つかずの状態と言えます。つまり、そうした国では井戸を掘って地下水を探り当てる日本の巧の技術が切望されているのです。

ただ、途上国は日本と貨幣価値が大きく異なることもあり、そうした巧の技術を有する日本人に協力を仰ぎたくともコストの問題で断念していた訳です。
従って、そうした国に代わって誰がコストを誰が負担するかという問題があります。

しかし、少し視点を変えて考えれば、水の問題が解消されれば、水と不可欠と言って良い農業や工業といった産業も発展することになります。それは回り回って労働力や生産拠点の獲得等、日本の経済にも確実にプラスとして跳ね返ってくるのです。

ならば、そうした長期的視点やビジョンに基づいた、ODA等ではなく民間資本に基づいて、巧の技術を有する日本人の方々がその実力に見合った対価を得ながらそうした水で悩む海外で活躍出来るようなスキームが実現出来ないか。そうなれば日本の巧の技術も海外で活かされ、日本経済も結果的に潤うことにもなります。

戻る