シドニーで「スペース貸し手作り雑貨店」を経営されていた方からこんなお話を伺いました。日本で行っていたビジネスを海外進出させたのではなく、日本では馴染みのあるビジネス手法、ビジネス形態が海外では斬新であったことをヒントに企業されていた方の好事例をご紹介します。
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私はオーストラリアのシドニーで、スペース貸し手作り雑貨の店を10年間経営してきました。日本でもオーストラリアでもビジネスをした経験はなく、店舗で働いた経験すらなく、また同業種の知り合いもいないという無い無いづくしの状態で手探りで店を始めました。
私が経営していたのは地元の方々が作った手作りのアクセサリーやファッションアイテムを売る雑貨店になります。店内に多数の棚やテーブルを置いて場所を区切って、手作り雑貨を作る作家の人々に作品を展示販売するスペースを貸し出します。スペースはサイズやロケーションによって値段が違っていて、作家の人々は選んだスペースによって毎月スペース代(賃貸料)を払います。またスペース代のほかに、品物が売れると売り上げの20%の販売手数料がかかります。
店には日本の雑貨など仕入れ品もありますが、収入の中心は販売収入ではなく、クラフト作家の人々からのスペース代です。
こんな非力な私が始めた店ですが、小さいながらも続けてこられた理由を振り返って考えて、これから海外でビジネスを始める方に参考になりそうな部分をピックアップしてみました。
1.新しいビジネスコンセプトを持ち込むことが戦略になる
「スペース貸し雑貨店」は日本ではポピュラーでほぼ定番のやり方になっていますが、このスタイルはオーストラリアにはありませんでした。それで「今までになかった店」ということで、メディアに掲載されて人々の注目を集めることができました。
品物を買うだけではなく作る人が参加できる…料金さえ払えば誰でも参加できてチャンスが掴める、という点が特にオーストラリア人には珍しかったようです。
商品やサービスの質や新しさが大事なのはもちろんですが、それ以上に「ビジネスのコンセプトの斬新さ」は、他と差をつけるための大きな要因になると思います。
外国で現地の人をターゲットにしてビジネスをする場合「現地にはない日本のものを提供する」というのが一つのやり方だと思います。その際日本の品物やサービスを提供するのも良いですが、それ以上に「日本にしかないビジネスコンセプトを持ち込む」というのは強力な戦略になるのではないでしょうか。
2.その国で需要が満たされていないものは何か考える
私は「作品を売りたいけれど売るチャンスが無い」というアマチュアや初心者の作家の人々をできるだけたくさん集めるようにしました。
オーストラリアでは販売実績のないアマチュアの人々にとって、品物を売るチャンスを得ることは容易ではありません。一部の雑貨店は品物の委託販売を受け付けますが、よく売れる実績がある品物しか受け付けません。またネット販売がポピュラーになったとはいえ、やはり「実際品物を手に取ってもらえる店舗で販売したい」と願う作家の人はたくさんいるものです。
私の店は販売経験が無いアマチュアの作家の人でもスペース代を払えば誰でも参加できて、スペース内にはどんな作品でも好きなだけ置いて販売することができるようにしました。また棚は丸ごと一つではなく、段ごとに区切って一区画ずつ借りられるようにして、作品数が少ないアマチュアの人や低予算の人でも借りられるようにしました。またスペース貸しの長期契約はせず、一か月ごとの更新としました。
これによって、売れるかどうか確信が持てない初心者の人でもリスクを気にせず販売に参加することができるようになりました。そしてほかの委託販売の店に入り込めなかった作家の人々を取り込むことができました。
どんなビジネスでも、その国で必要とされていて需要が満たされていないものを供給すれば成功します。それが何であるか、現地の人々の生活を注意深く観察して常に考え続ければ、見えてくるものがあると思います。
3.現地の習慣やテイストに合わせたビジネス展開をする
私のビジネスは日本のビジネスモデルを海外で実践したというものですが、日本のやり方をそのままうつしただけでは受け入れられなかったと思います。
まず、スペース貸しの雑貨店という今までになかったコンセプトを現地の人々にわかってもらえるように手を尽くして説明しました。店名には「ギャラリー」という語を入れて、ただ仕入れて販売する店ではなく「作品を見せることができる場である」ということを強調しました。
また手作り作品のほかに、オーストラリア人が興味を持つ和風のクラフト素材や和雑貨を置きました。そして和雑貨の好みも日本人とは違うので、それに合わせた品ぞろえにました。
作家の人々は3割が日本人、7割がオーストラリア人や他の外国人でした。日本人以外は皆のんびりしていて、スペース代も期限までに毎月払うとは限らなかったのですが、あまりルールに厳しくこだわると皆続かなくなるので、そのあたりは適当に緩めにしました。日本人の作家の人々には、日本人とは違うオーストラリア人独特の好みについて知らせるようにしました。
またオーストラリアではクリスマスがギフトシーズンのピークになるので、毎年それに合わせた日程を組んでビジネス展開をしてきました。
日本のビジネスを海外で展開する場合、日本から持ってきたものをそのままの形で出しても受け入れられないことがあると思います。現地に合うかどうか吟味して、もし必要なら合う形に加工してから提供するのがいいかもしれません。
以上
まさに、海外のマーケットや消費者のニーズをしっかりと捉える..海外マーケティングを地でいかれ日本では馴染みのあるビジネス形態を海外展開させて成功したという、とても参考になりますね。
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