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近年のグローバル化とともに日本からも様々な製品やサービスが海外進出しており、中には世界最高品質という評価を得ているプロダクトも多く存在します。その一つが「文房具」。
私たちが日々何気なく使っている日本製の文房具は、使いやすさやデザインに対する細部へのこだわり、製品の種類の豊富さなどで世界に類を見ないほど洗練されており、海外でも高い人気を得ていることをご存知でしょうか。
日本では大手からベンチャーまで様々な文房具メーカーが、便利さ、使いやすさを追求した製品開発に日々取り組んでおり、次々と新しい製品がリリースされています。矢野経済研究所による「文具・事務用品市場に関する調査結果 2015」によれば、2014年度の国内文具・事務用品市場は4,662億円もの規模だったということです(※1)。
線が太くならずに快適な書き味を保ち続けるシャープペンシル、軽い力でたくさんの紙をとじられるホッチキスなど、日本製の文房具には単に「書けるだけ」「使えるだけ」に留まらない創意工夫が溢れています。開発者の使う人に対する並々ならぬ配慮が高い付加価値を生み出し、世界の人々の心をも惹きつけているのですね。
近年、海外進出を果たし、現地マーケットからも評価を得ている文房具で、温度変化によってインクを消すことができる、株式会社パイロットコーポレーションの「フリクション」シリーズがあります。いわゆる「消せるボールペン」ですね。登場した時には、その斬新さに目から鱗だった方も多いのではないでしょうか?こちらは2006年に日本国内に先駆けてヨーロッパで発売を開始し、大ヒットとなりました。以来、日本でも発売を開始、販売数を伸ばし続け、2014年3月末時点で世界での累計販売本数はなんと10億本を突破しているということです(※2)。
高機能という面だけでなく、環境への配慮がなされた製品が揃っていることも、日本の文房具市場の誇るべき特徴でしょう。何度もリフィルを詰め替えて快適に使い続けることができる筆記具はもはや当たり前のものとなっていますし、針を使わずにとじることのできるホッチキスのようなアイデア製品も数多く店頭に並んでいます。文房具・事務用品の大手メーカー、キングジムのペーパーレスでメモをとることができる電子メモパッド「ブギーボード」など、各社が文房具とデジタル技術をうまく融合させた新たなツールの開発にも力を入れていて、従来の文房具という概念を超えるようなイノベーティブな製品が次々に登場しています。
日々進化を続ける日本の文房具の世界。IT技術の進歩と普及が進み、デジタル全盛とも言われる時代に、私たちの国がなお世界中の人々に支持される製品を生み出し続けることができているという喜ばしい事実は、日本人の「使う人を想い、利便性や快適さをどこまでも追及する」という他者への配慮や想像力、実直な開発者魂を物語っているようで、誇らしい気持ちにさせてくれます。
高品質な日本製の文房具が世界に広まっていくということは、世界全体の人々の暮らしがより便利に・豊かに・快適になっていくことを意味します。そのことに思いを馳せると、1本のペンで快適に文字が書けるという当たり前のことでさえ、とても特別な体験のように感じられます。
ちなみに、なぜこのフリクションインキは国内に先行してヨーロッパで発売をしたのでしょうか?国内よりも先に海外進出を果たしたことになります。これは当時パイロットコーポレーション・オブ・ヨーロッパS.A.(フランス)の社長兼CEOを務めたマルセル・ランジャールによる成果だそうで、彼は「ヨーロッパの筆記具市場に最も精通している人物」として、その手腕がきわめて高く評価されていた方だそうです。彼の一流のセールス&海外マーケティングの成果と日本の技術が融合しこのようなイリュージョンを実現させたわけですね。
<データの出所>
※1:株式会社矢野経済研究所「プレスリリース 文具・事務用品市場に関する調査結果 2015」(https://www.yano.co.jp/press/press.php/001485)より
※2:フリクション公式サイト「開発の歴史 こすると消える「フリクション」の物語。」(http://www.frixion.jp/story/)より
※小学館「BOOK People」書いた!こすった!消えた! 世界で10億本を売った「消せるボールペン」開発物語(http://bp.shogakukan.co.jp/takita/pilot_010.html)より