なぜ、こんなモノが海外では評価されるの?を探っていくと、現地の文化・価値観の違いから日本特有の日本人の発想力・技術力が見えてきたりします。今回は海外で生活をする方から、なるほどなぁというお話を伺ったので紹介します。
海外で現地の人と混じって働いたり居住したりすると――つまり、日系企業駐在員のように豪華な生活をして現地庶民との接点もほとんどない生活ではなく、移民者として地元住民として生活すると――、日本では当たり前に目にし日常的に使用していた物が、実は、発想豊かで細やかに工夫された工業製品であったと気づくことがしばしばあります。「鉛筆の補助軸」もそのひとつです。? ? 私は南米の発展途上国と言われる国に十数年居住し、地元大学を出てさまざまな機関で教師を経験しており、この国の青少年や教育についての事情には詳しい方だと思います。そしてここでの日常よく繰り返される光景が、?「老若男女問わず『何これ?』と興味を示し、用途を説明すると、『うわぁ、便利!かっこいい!日本製なんでしょ?』と、私や同僚の日本人先生が昔日本から持って来て大事に使っているアルミ製の「鉛筆の補助軸」を見つめ感嘆し、それからひとしきり日本をほめる」の図なのです。??
ではすべりが悪く色付きも悪くすぐに折れて短くなる鉛筆を、こちらの人はどうやって使っているのでしょうか。?? 答えは「半分より短くなって握りにくくなったら捨てる」です。? 日本人なら「えっ、豊かでない人も多い地域なのに何故」と問いたくなるでしょう。私見ですが、その答えは、「自国の資源の豊かさに甘える意識を背景とした『もったいない感』の無さ」と「持てる者は持てない者に施すというキリスト教の習慣で育まれた『もらい慣れ』」にあるようです。ここではこの問題には深入りしないでおきますが、つまり、中流以上の人は食べ残し、使い残し、使い捨てに抵抗が無く、貧困層は学用品の寄付やプレゼントをもらい慣れているようなところがあったり、無ければ無いで済ませたりするので、「鉛筆の補助軸」のような便利な物の存在を想像したり工夫して作り出したりということにはならない、ということです。
しかしその一方で、実物を見れば「カッコいい、面倒も減る、欲しい」とは思うのです。実際、うっかり人に貸すとなかなか返って来ませんし(日本製の鉛筆が納まっていると尚更)、ある生徒は他州の東洋人街でやっと見つけたと嬉しそうに見せてくれました。また、別の人はインターネットで日本のサイトから購入したいが日本語も英語もできないし送料の方が高くなりそうなので諦めたと言っていました。??
「鉛筆の補助軸」は、地味ながら、「高価でない身近な日用品でも大切に扱うという丁寧な心」と、「日常を丁寧に生きる心を補助的に実現させる創意工夫と地道な努力をする」という日本人の美点の二つをよく表した日常文化の代表だと思います。ネットで検索すると、このごろは、アルミ製以外にも、美しい木製やカラフルなアクリル製、先を保護できる蓋付きペン型になっている物などいろいろあるのですね。バリエーション豊かな新開発商品の数々を見て、日本人の繊細さとたゆまぬ努力とを垣間見た気がし、嬉しくなりました。
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