中国でのビジネス体験

中国で20年以上ビジネスに携わっていた方からの貴重な体験談です。

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私はある電機メーカーに勤めているサラリーマンです。

 そこでは海外に幾つか工場が海外に進出しており、月に1度くらいは訪問があります。

 

よく行くのは中国です。中国にも複数の工場を作っているので、それらを定期的に回る仕事が必要になってきます。

工場が中国進出した最初の頃は、資本主義の感覚が中国人労働者にないので、直ぐに手を抜く者が出てきました。

 これはどんな業種の方でも感じたことはあると思います。

例えば、訪問中に泊まるホテルでチェックインしようとすると部屋が空いていない意味の「メイヨウ」と言う言葉を必ずと言っていいほど言われます。

 

お客さんが泊まっても、泊まらなくてもお給料は一緒と言うことがあり、お客を泊めると仕事が増えるからです。

 だから「メイヨウ」と言って断ろうとします。

最初は戸惑いましたが、段々と自分も慣れてきて、簡単には引き下がりません。

 数分話合って、ようやく部屋が取れると言った感じでした。

中国は資本主義経済を導入してからは改善されてきました。

 海外の人が泊まるようなレベルのホテルでは、部屋が空いているのに「メイヨウ」と言って断られることはまず無いでしょう。

でも今でも断る一部のホテルもあるそうです。

 

工場が中国に進出した当初は、従業員をやる気にさせることが第一命題でした。

 感覚としてやっても、やらなくても同じ給料と言うのが染み付いてしまっていました。

そこで、上司と中国のある工場を訪れた時に、キチンとノルマをこなすように口が酸っぱくなるほど言いました。

 最初は通訳を通じてだったので上手く伝わらなかったかもしれません。

 

しかし、訪問も回数を重ねるごとに私自信もある程度中国語が分かるようになっていましたので、従業員に直接指導できるようになって、ようやくノルマと言うものを理解してくれたようでした。

しばらく様子をみていると以前よりは集中して仕事をしている感じがしました。時間が掛かりましたが、何度も中国へ行ったかいがありました。

 

数ヶ月した今度は、ノルマ以上に仕事もこなしてくれた従業員は給料を上げてあげると伝えました。

 そうすると最初は従業員の一部でしたが、ノルマをこなし、残業をする従業員もチラホラ見かけるようになりました。

そう言う従業員が出てくると段々他の従業員も少しずつですが、キチンとノルマをこなしていくようになりました。

そして段々と日本の工場の従業員のようになってきました。

 

 そうなるまで20年くらいかかりました。

 ようやく中国の幾つかの工場では日本のような生産性をあげてくれるようになりました。

まだ日本ほど効率的ではないですが、日本の工場に近づきつつあります。歳月を掛けたかいがありました。

そうなるまで力を注いだ上司はもう定年退職をしてしまい、今では私が責任者になっています。

 まだまだ日本の工場に比べると生産性が低いので中国の工場全てを日本の工場レベルまで引き上げて行きたいと思っています。

ノルマを与え、しっかりこなす従業員とそうでない従業員と給料を変えると決断してからは、従業員はやっぱり稼ぎたいから良く働くようになりました。

 

中国の従業員に少しずつ資本主義というものが伝わったということでしょう。これからはもっと競争意識を植え付けて行きたいと思います。

 

 

 

 

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