海外進出先トップランク国の税金事情は?

国によって種類も税率も基準が異なる「税金」事情

 

海外進出する上で把握していくべきことの重要事項にあるのが「税金」。

税金と一言にいっても、海外で商売をする上で関連してくる税金の種類は国によって非常に様々です。

大きな分類としては法人税・所得税・消費税(またはそれに準ずる付加価値税や間接税)などがありますが、例えば日本企業が進出する先として第2位となるアメリカでは以下のような税金が存在します。

 

【1】法人税

連邦・州レベルで、それぞれ課税されます。

米国外の親会社、株主、投資家や特許保有者への配当、賃貸料、利子、特許料の支払いに関しては、10%または15%が源泉徴収されます。

<連邦法人税>

企業収入に応じて15~39%の8段階の税率が定められてます。法人税額は通常の法人税と、代替ミニマム税(Alternative Minimum Tax:AMT)の2本立てで計算される仕組みです。

* 通常の法人税も連邦法、州法に基づいて設立・組織された法人となる「内国法人」と、米国法によらないで設立・組織された法人である「外国法人」とで制度が異なります。

* 代替ミニマム税(Alternative Minimum Tax:AMT)とは高所得者の税控除、優遇措置を制限するために創設された制度で、各種控除を考慮して算出した通常の所得税額と、各種控除を排除して一定の計算方式で算出したAMT税額とを比較し、高額な方を支払う仕組み。

 

<州法人税>

州法人税は法人所得税、またはフランチャイズ税があり、税率は州ごとに異なります。

2016年度の各州の税率は以下から確認いただけます。

州別法人税率:Tax Foundation 「State Corporate Income Tax Rates

 

【2】法人に関連するその他の税制

上記法人税以外にも法人の場合アメリカでは以下のような税制が存在します。

※全てが関わるものではありません、企業の状況に応じ関連してくる税制が異なります。

・雇用関係税

・売上税(Sales Tax)

・消費税(Excise Tax)

・固定資産税

・家賃収入がある場合、それに対する課税

・不動産譲渡税

・移転価格税制

・自然環境税

※厳密にはこれ以外も特定ケースに応じた税制やペナルティによる課税が存在します。

 

進出先トップランク国の所得税と法人税率

上記の通り、一言に法人税といっても国によって、またアメリカのように州や市によって制度や税率が異なったり複数の税が存在します。

以下は参考までに、日本企業の海外進出先トップランク国の所得税と法人税の基本税率を記します。

 

所得税と法人税率

 

個人の所得税も消費税も国によって様々です

個人に関わる所得税や消費税も国や地域によって様々な種類、税制が存在します。

日本の場合、消費税は一律8%、所得税は収入に応じて5%から45%の7段階と比較的分かりやすい定めとなっています。

例えばアメリカの場合、所得税は連邦個人所得税と州所得税があり納税者はこの双方を収める必要があります。連邦個人所得税は米国永住権を持つ場合と持たない場合とで制度が異なります。

またアメリカには日本でいう消費税が存在せず、代わりに消費者が商品価格に上乗せして払う「小売売上税」が存在します。これは連邦政府ではなく、州や郡、市がそれぞれ課税します。

たとえばカリフォルニア州ロサンゼルス郡の場合、州税8.25%+郡税1.5%で9.75%となります。ロサンゼルスが最高で、最低はオレゴン州やモンタナ州の0%です。

インドにもいわゆる消費税はこれまで存在せず、間接税として複数の国税と州税が併存し、税の種類によっては相殺不可能なものがあるなど、複雑な体系複雑な税制が存在します。

そして2017年7月にインド独立以来最大級とも言われる税制改革が実施され複雑だった関税構造が改正されました。物品・サービスに対する間接課税は物品・サービス税(Good and Service Tax:GST)に統一されました。税率は5%、12%、18%、28%の4段階に。

 

このように国によっても税種の概念・制度が複雑に異なり、税率も大きく変わります。国によっては日本での感覚が通用しませんので事前にしっかりと把握しましょう。