景気が回復基調になると、パートやアルバイトの人材不足が顕在化し始めました。これからの先を見越して非正規社員を正規化し、人材の定着確保を図ろうとする動きも活発になって来ています。政府も、女性にもっと活躍してもらい、就労人口減による経済成長の頭打ちを打破し、さらに社会保障の改善を図る効果をも上げようと真剣に考えだしています。

人材確保が困難になると、その煽りは真っ先に中小企業が受ける事になります。支払える賃金からいっても、大企業に抗して、人材を確保する事は困難なのです。

そんな中で、製造業の中小企業は、下請けからの脱却、生き残りを掛けた海外展開などの困難に立ち向かう必要があり、こうした困難を自分の子供に背負わせたくないとして、廃業する中小企業が増え続けています。

人口減少の中で、現在の日本の生活水準を維持するためには、国際収支の安定的黒字を確保し、海外を活用して富を日本に持ち帰る事が必須なのです。そのために、核となる貴重な製造技術を有する中小企業を廃業に追い込み、消滅させる事は、これ以上許されない状況なのです。

そのための人材として、大企業でビジネス経験豊富な60代の定年退職者と、大学生の活用をもっと積極的に考えるべきでしょう。

大企業のOBは、退職金を原資とした企業年金の支給を60歳から受けている場合が多く、継続雇用制度があっても、元の会社で働かず、早々とリタイア生活に入る人が多いのです。大企業の従業員であった人は、普通の年配者のようにパソコンスキルが無い人など殆どいません。また経理、人事、技術、生産技術、生産管理、海外展開(工場関連、営業関連)、国内営業、輸出など、様々な実務経験豊富な人材が、山ほど居るのです。

こうした人材のスキルや、働き方の希望を気軽に登録でき、必要な中小企業が期間限定で雇用できるシステムの構築が必要でしょう。今の公的な制度では、シニアのスキルと必要な企業をマッチングさせ、ビジネスの中核をサポートする人材を流通させる事には全く機能を果していません。この人材バンクを都道府県毎に設置する事を提案したいものです。

また、製造現場での臨時工として、工科高校、高専、大学の工学部の学生を活用する仕組みを構築するのも良いでしょう。選択科目として工場実習を単位認定している所もありますが、まだまだ不十分と言わざるを得ません。こうした実習生が、企業の重荷にならずに戦力化できる仕事も、こうした制度が定着すれば、考え出し利用する企業は必ず増えるでしょう。

実習生に勉学としての指導部分が重荷になるなら、実習生を活用している地域の何社かの企業で、先に提案した大企業リタイア組を講師として活用すると言った組み合わせも良いでしょう。

女性の戦力化を推進しても、中小企業の製造業には人材は廻って来ません。ここには、早急に別の人材確保の手を早急に打つ必要があるのです。

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