平成23年に発生した東日本大震災は、未曾有の震災として日本経済、
とりわけ東北地方の経済に深刻なダメージをもたらしました。
特に水産業者や水産加工業者の受けた被害は深刻で、廃業を余儀なくせざるを得ない企業も多くありました
一方で、震災によって国内での販路が縮小する中、海外展開によって危機を切り抜けた企業もあります。
そのうちのひとつが末永海産株式会社です。
昭和50年に創立した同社は本社を宮城県石巻市に置き、創業以来、
「大切な人にこれが海だと自信を持ってお贈りできる製品造り」を理念とし、
消費者に三陸の海をまるごと味わってもらえるように海藻の加工や牡蠣、ホヤ、帆立の養殖を
行って来ました。世界三大漁場である三陸の水産資源を材料に、優れた加工技術とノウハウを
活かした加工食品を現在も生産し続けています。
同社の海外展開は平成24年に香港で行われたFOODEXPO 2012での出展が最初になります。
その後、被災水産加工業5社が連携し、統一ブランド「日高見の国」を創設。
同「日高見の国」は、その年のJAPANブランド育成支援事業に採択され、
同社が海外販路開拓に本格的に着手する礎となりました。海外での事業を進める上で、
同「日高見の国」は香港、タイ、シンガポールが主催する商談会に参加。
その結果、香港、シンガポール、マレーシア等の販路を獲得し、本格的な輸出をはじめました。
平成26年には、参画企業をさらに1社増やしでの6社体制にし、台湾、タイ、香港、マレーシア、
シンガポールで数々の商談会を実施、海外バイヤーを対象とした日本食レストランの試食会を
通じて自ブランド商品の魅力を発信、バイヤーからの知名度が向上し、輸出が拡大。
グループ全体の総輸出額が4600万円を達成しました。
このように海外での評価も高まっていますが、もちろん国内での評価も遜色劣っていません。
東日本大震災が発生した平成23年には、「第22回全国水産加工品総合品評会」にて、同社製品である
「牡蠣味噌」が東京都知事賞を受賞、また、平成28年の「第26回全国水産加工品総合品質審査会」では、
同社製品「牡蠣の潮煮」が農林水産大臣賞を受賞しています。
また、日本国内で初めてとなる生食用牡蠣での大日本水産会HACCPに認定を受けました。
その他にも、「第38回宮城県水産加工品品評会」「第26回全国水産加工総合品質審査会」といった
数々の 品評会も優秀賞を受賞し、「岩手県漁業協同組合連合会」「全国漁業協同組合連合会」
「日本わかめ協会」といった名だたる協会からもいくつもの感謝状が送られています。
同社は近年、ベトナム向け輸出水産食品登録施設にもなり、今後新たな販路獲得に向けて
努力に余年がありません。代表取締役である末永寛太社長は、
「震災の後、日本の市場でなかなか売り上げが回 復しない所に、海外市場へのチャンスをいただき、
チャ レンジしました。 三年目でやっと実績もついてきたので、売上の定 着化を図り、
売り先を絞って、商品開発をし、長く 取引ができる先を開拓していきたいと思います」と
コメントしています。
平成26年には新工場も竣工し、海外展開に向けて勢いを増している同社の動向は今後、
ますます国内外から注目されていくことでしょう。
(参考/引用元)
・末永海産株式会社ホームページ
http://www.suenaga.co.jp/