石川県七尾市のスギヨは、日本で初めてカニかまを作った水産加工品メーカーです。
カニかまの海外展開も、1970年代から積極的に行っています。
スギヨのカニかまは、1976年に初めての海外展開を果たしました。
カニかま初の海外輸出国は、アメリカでした。
スギヨのカニかまのアメリカ輸出量は着実に伸び続け、1983年頃に月あたり約1000トン。
アメリカ市場でのシェアは、約80%を果たしました。
円高に悩まされた時期もありましたが、カニかま人気はアメリカに定着。
日本からの輸出をやめて、現地生産を開始するほど、アメリカの食生活にとけこんだ食品となりました。
欧米で市販されているカニかまは、「SURIMI」「クラブスティック」などの商品名で呼ばれます。
アメリカでのカニかまメニューは、サラダやバター炒め、パンにはさんでサンドイッチなど。
魚やカニをさばかなくても、カニの美味しさを手軽に楽しめることが、欧米でも好まれています。
近年のスギヨは、中国およびアジアの食品市場に注目し、
中国・香港・台湾・東南アジアでの販売強化をすすめています。
中国およびアジアでは、2006年ごろから食品市場が規模を拡大しているためです。
アジア圏は平均所得が向上したため、美味しい食品、品質の良い食品であれば、
価格が高めでも購入する人が増えています。
スターバックスでコーヒーを飲む人が増えたり、
日本食を好む人が増えるなど、食生活の多様化も進みました。
そこでスギヨは、中国およびアジアでのカニかま展開に取り組むことにしました。
スギヨのカニかまの海外売上高は、2018年度に10億円、
5年後には海外売上高15~20億円を目指しています。
会社の売上高のうち、海外事業によって10%をめざしたい考えです。
アジア展開においては、アメリカ展開と違った、新たな取り組みも行っています。
アメリカ展開では、スギヨがカニかまを作り、別の商社がカニかまの取引を行う形でした。
この形をとると、スギヨが食品市場の動向を把握しにくいため、
商社に価格設定などを任せるしかありません。
アジア展開では、スギヨが輸出部門も担当します。
スギヨが直接輸出部門を担当した方が、食品市場の変動に対応しやすいためです。
カニかまを販売している地域の食文化を調べてレシピを提案するなど、細かな提案もできます。
スギヨの取り組みは、2018年1月、農林水産省の「輸出に取り組む優良事業者表彰・農林水産大臣賞」で
表彰されました。スギヨのこれからの海外展開の夢は、新しい食品市場・イスラム圏だそうです。
参考サイト
http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/economy/nerai/CK2018022702000210.html
中日新聞 2018年2月27日「アジアにカニかまを スギヨ 杉野哲也社長」