海外進出成功事例として、高知県香美市にある刃物メーカーの「穂岐山刃物株式会社」をご紹介します。
穂岐山刃物は1919年創業、高知県の東部香美市で創業された従業員40名、売上高5億に及ぶ老舗刃物メーカーさんです。
約100年もの歴史を持ち国内でもその品質には定評高い刃物メーカーさんではありますが、 1990年の日欧刃物産地の交流を通して海外進出に興味を抱いた3代目社長穂岐山信介氏は海外進出を決断しました。
土佐刃物は日本刀鍛冶を起源とする伝統産業として 500 年の歴史を持ち、同社は 1919 年の創業から100年以上、鍛造製法により様々な刃物を創造していました。また、大手機械メーカーとの共同研究により、同社の持つ高い技術は、航空機エンジンのタービン翼に使われるコーティング技術の応用を可能にし、切れ味が持続する画期的な包丁を開発しました。このような対外的にも非常に高い評価を受ける穂岐山刃物ですが、その状況の中で、土佐刃物の業者でヨーロッパへ視察に訪れる機会があり、その際にビジネスチャンスを感じた穂岐山刃物は昭和55年、38年前に海外進出を決めました。およそ100年も続く経営の歴史がある同社だからこその英断であったと言えるのではないでしょうか。
昭和55年、同社は台湾に家庭用包丁製造プラント輸出し、さらに5年後の昭和60年には韓国に家庭用包丁製造プラント輸出、昭和62年には中国(広州)に中華包丁の製造プラントを輸出させました。こうしてアジア圏には比較的早期から海外進出を果たしていた同社ですが、平成4年にはついにドイツで行われたフランクフルト・アンビエンテに参加し、ヨーロッパへも展開を開始していきます。現地の業者とは英語でのコミュニケーションが多かったのも、比較的当初の想定よりも容易にヨーロッパへ事業を展開できた大きな理由であるそうです。そして、平成13年には、ついにドイツのケルン・メッセに初めて自社出展することができました。そして、フランクフルト・アンビエンテへの参加からおよそ20年が経った平成26年には、ようやく自社スタンドで出展を開始しました。同社は、この海外進出において、英語の巧拙でなく、つたなくても自身の言葉で製品への自信と愛情をもってメール対応、電話対応のできる社員を育ててゆくことだと述べており、まさに営業における人材育成の重要さが伺えます。そういった背景も味方につけながら同社が行った様々な地道な努力の結果、たった26人の従業員数でありながら、穂岐山刃物徐々にブランドの浸透と販売数を伸ばしていきます。
同社が海外進出した過程において活用したのが、JETRO相談支援キャラバン事業やJICA相談支援、そして各県の輸出振興見本市支援事業でした。他社の情報を元に、適切な見本市を見極め、出店を粘り強く継続させたり、見本市後のアフターフォローや、日常的な引き合いへの対応をきちんと行ったりすることを穂岐山刃物は大切にしてきたといいます。
同社は、今後も日本のみならず海外に進出して土佐刃物の普及を目指し展示会や商談会への出店を通して土佐刃物業界の全体を盛り上げると高い目標を掲げて現在も邁進されているようです。
(参考/引用元)
・穂岐山刃物HP: https://www.hokiyama.com/
・http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/monozukuri300sha/2017/juyou120_hokiyamahamono.pdf
・SHANIMU:http://shanimu.com/2016/11/30/post-4039/
・中小企業庁:
https://www.mirasapo.jp/features/policy/vol39/file/kaigaitenkai_47.pdf