日本でかつて時代を席巻したガラケーと着せ替えサービス。日本での流行りを受けアメリカへこのサービスを進出させようとしたある会社さんの当時のエピソードをお伺いすることができました。

 

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 私が勤務している会社は、携帯電話端末の画面を着せ替える技術について強みを持っていて、日本国内では大手キャリア3社とライセンス契約を交わし、安定的な収益を確保してきました。

 携帯電話というのは従来の携帯電話の端末のこと…いわゆるガラケーです。そしてこの着せ替え技術をアメリカでもライセンス販売できると考え、7年前にアメリカに子会社を設立し、取締役を1名派遣してビジネスに取り組みました。

 ?ところが、アメリカ人の習慣として携帯電話の画面を着せ替えたいというようなニーズがないという現地携帯会社の見方が強く、私たちはすぐに壁にぶつかりました。当時は社長自らが何度も渡米し、アメリカの携帯電話会社の幹部に対し着せ替え機能を携帯電話に搭載すれば、新たな携帯電話の付加価値として魅力が生まれ、携帯電話そのものも販売台数が多くなるはずだと、先方の考えを変えようと何度も試みました。?しかし、入念にアメリカ側の話を聞いてみると、アメリカ人の携帯電話の使い方というのは、文字通り電話をするときだけに使用するのであって、インターネットを利用してホームページを見るようなことはしないとのことでした。だから、携帯電話の画面を着せ替えるような趣味は持たないと言われてしまったのです。?

 

 そんなこんなで2年間、アメリカ国内で着せ替え技術の売り込みに尽力をつ付けましたが、とうとう相手にしてもらえず、そのうちiPhoneやスマートフォンが台頭してきたため、私の会社でもスマホ向けのソーシャルビジネスに経営資源を振り向け、現在はソーシャルゲームの開発に注力するに至っております。

 当時、私としては日本とアメリカでここまで携帯電話の使い方に違いがあると突きつけられた事は非常にカルチャーショックを受けました。同じ先進国であれば最新鋭のデジタル機器の用途やニーズは共通するものと思い込んでおりました。文化の違いでここまでニーズが変わるということをもしかしたら事前にもう少し分かっていれば、海外での展開の仕方も変わっていたかもしれません。とても良い勉強になりました。

 

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 スマートホンの台頭で、更にこういった垣根がなくなりつつある現代。振り返ってみると、確かに当時のガラケーはいわゆる日本だけのガラパゴスと言われるだけあって、日本特有のニーズに合わせた仕様で突き進んでいましたよね。結果、それ故に世界を席巻した日本の携帯技術もスマートフォンに取って代われていきました。やはり、日本で成功したビジネスも、現地海外のニーズに即したものか、そのまま持ち込んで果たして受け入れられるものかどうか、事前の調査は是非行うのが良さそうですね。

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