ブラジルでTシャツの制作と販売を行っていた方から文化の違いがビジネスに及ぼす影響について・・というお話を伺いしました。日本人からしたら当たり前の感覚が海外では通用しない・・。これだけ聞いても、「まぁそういうこともあるだろうな・・」くらいの感覚しか生まれないと思います。が、実際話を伺ってみると、その文化と感覚の違いがこんなにもビジネスに影響を及ぼすとは・・と驚きます。そして海外でビジネスを展開する上では一般的にあり得る事象とも思います。是非参考になさってみてください。
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ブラジルの都市部でTシャツの製作と販売を2006年から2008年にかけての二年間余りしていました。 工程のうち、型決め、布地の選択・購入、図柄のデザイン作成と配色の決定、販売などは自社で行いますが、裁断、印刷・色載せ、仕上げ縫製の3点は外注していました。
困難だったのは、この外注部分、つまり、ローカルの人々が関わる部分です。
欲しい布地が入ったことを電話で確認してから買いに行っても類似品の間違いだったり、出来上がり製品受取の約束の日時に行っても受け渡し責任者が留守だったり仕上がっていなかったりのことがほとんどで、結局、何軒も工場を替えなければなりませんでした。余計な手間暇と頭痛の種になります。布地問屋、裁断縫製工場、印刷工場はいずれも拠点からは結構な距離があり、二度足を運ぶだけでも大変な時間と交通費のロスでした。
日本人の感覚では、このような納期遅れや誤りはあり得ないものであり、当然そのような失態を起こしたからにはそれなりの謝罪や対応を受けるのが当たり前と思うでしょう。しかし、そうはいかないのです。落ち度があっても先方はまずそれを認めません。ミスが発生していることは認めても、それにより取引先に迷惑をかけているという自覚も無いです。もちろん謝罪やそれ相応の対応などはありません。「間違いだったのだね、だからなに?」です。ほとんどの場合、実にのんびり堂々としています。
ですが、彼らは不誠実でも怠け者というわけでもありませんでした。何につけ「予定外の事が次々起こる」のが 日常生活で、それだからこそ、約束を自分が守れなくても相手が守らなくても平気らしいのです。つまり、自他双方に寛大で、責任追及もしないのです。これはもはや私たち日本人との感覚の違いに他なりません。郷に入れば郷に従え・・私たちがこの感覚に合わせていくしかありません。
ちなみに、これらの現象は購入側にも多々見受けられました。
大量発注をされたものでも、途中でキャンセルや約束した配達日に商品を持っていっても約束をすっぽかされ後日再配達・・なんてことが日常茶飯事です。感覚的には九割以上がこのような状態です。
正直いいますと、このような感覚の違いは多少あり得るだろうとは思っていたものの、ここまでビジネスに影響するとは想定外でした。これらにより当然生産が予定より大幅に遅れてしまい、売り上げの伸びる時期に売る物が無く、要らぬ時期に余るということが繰り返され、販売においても予定通りにいかない事が当たり前となってしまい、ほとんど利益は出ませんでした。余計にかかった手間暇と心配、苛立ちなどを考慮すれば、損失の方が大きかったようにも感じます。
海外、特に発展途上国や大都市圏外でビジネスを進出される場合、以上のことを念頭に置き、ビジネスの計画を立てることをお勧めいたします。また、同伴するご家族も、同じ理解や覚悟をもつべきかと思います。日本からの駐在員さんの奥さん方が日本人だけで集まってブラジル人の悪口を披露し合うのを見聞きすると、理解できると共にとても残念にも思います。「あなた方の土地に住まわせてもらいます。ビジネスと異文化体験の機会をありがとう」という気持ちで、双方が学び合って、建設的な海外赴任期間が過ごせるといいですね。
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