日本人の食に対する意識は高い。
不景気の世の中で、飲食店でも価格競争が激化し、安い食べ物を提供する店が増えた。
しかし、最近では激安化も飽和状態になり、少し高くても美味しい物を食べたいという人が増えてきている。
今は、安ければいいという価格の問題ではなくクオリティの高さが求めれてきているように感じる。
また、日本人は飽きが早い。
流行な物にすぐに手を出すが、あっという間にブームが終わる。 海外から新しいお店がオープンすると連日長蛇の列ができる。
流行にのっかり、続々と同じようなお店を始めるがブームとともにあとかたもなく姿を消す。
お店の雰囲気がいい、トイレが綺麗というのはもはや飲食業界では鉄則であり、必須条件である。
だが、新しいお店がオープンして、一度行ってもまた行きたいと思うお店は少ない。
なぜなら、メニューやサービスが“ありきたり”だからである。
店内の雰囲気は良く、綺麗でおしゃれな、いかにも女子達が好みそうな内装でも、実際食事を食べた時、なんとなくどこかで食べたことがあるような “ありきたりなもの”が多いからだ。
料理の味が、平均して美味しいだけではなく、これだけはどのお店にも負けない、群を抜いておススメできるものがなければ続かないのではないだろうか。
飲食店は固定客がキーマンとなる。
美味しいから今度友達を連れてこよう、また食べに来ようと思う人がいないと長続きしない。
つまり、来店したお客さんによる口コミが鍵を握るのである。
口コミで広まった評判によってお店がつぶれたりする場合もある。
口コミの影響力はどんな宣伝より大きいのである。
では、長く愛されるお店とはどんなお店だろうか。
地元のお店で今注目されているお店について紹介する。
そのお店の特徴は
グラウンドメニューは設けず、地元で収穫された野菜を中心に素材の持ち味を活かした料理を提供している。
店の裏に畑をつくり、その畑で野菜を栽培したものを料理にだしたり、
地元主催のイベントでもメニューの考案に協力もしていて地域密着型のお店である。
もともとオーナーは地元の方で、県外の飲食店で経験を積み、地元へ戻り自分のお店を始めた。
以前にその場所は違う飲食店をやっていたのだが、経営がうまくいかず1年くらいでいくつかの店が入れ替わっていた。
入れ替わりが激しい理由として、郊外から離れた場所にあること、店もどこにでもあるようなカフェや居酒屋が多かった。
いつも気がつくと違うお店になっていたので、地元でもあの場所は何をやっても続かないと噂されていた。
だが、このお店は違った。
開店時から地元の雑誌にも取り上げられにぎわいを見せていた。
当初、立地条件や過去のお店の経営状況からみても、どうせすぐに消えていくのだろうと想像していた。
このお店はオープンしてから10年ほど経った今でも勢いは衰えていない。
いつもランチは予約でいっぱいで、お昼になると店の前で待っているお客さんもいる。
都会ではあっても、地元の田舎ではあまり見ない光景である。
実際お店に行ってみると、女子ウケしそうな内装で雰囲気もいい。
店員も料理を運んでくるときにメニューの説明をしっかりしてくれるので安心して食べることができる。
一番感動したのはメニューである。
地場産の食材を使い、独創性のある創作料理で家庭では味わえない味である。
誰でも普段手に入れやすい食材でこんな調理方法があるのかと驚かされる。
味も美味しく、値段もリーズナブルである。
口コミにランチは重要である。
店側としては低価格で儲けはなくても、お客様がお店を評価するのはランチではないだろうか。
お昼に行って、美味しかったから夜はどんなメニューなのか気になってくる人や昨日来たお客さんが違う友人を連れてきたり、お客さんがお客を呼んでくれる。
飲食店に行った時の評価対象は、
清潔感、接客対応、店内の雰囲気、スピード、味、ボリュームといった満足度
に対して支払う料金ではないだろうか。
こんなに満足して食べたのに、こんなに安い!
と思わせるか、
あまり満足していないのに、思ったより高い!
と思うかのどちらかである。
値段ではなく、提供された料理やサービスと支払う代金がイコール、若しくは金額の方が下回っていれば誰も文句を言わないのである。
お客様の満足度が高ければ、どんなに立地条件が悪くても客は足を運ぶのではないだろうか。
流行やありきたりなものではなく、
誰もやっていないもので客の心をつかむことが
今の飲食業界には必要なのではないだろうか。