先進国の多くが不況に苦しみ、衰退する産業も多いなか、成長を見せる業界もあります。
その一つが「100円ショップ業界」。アメリカでは「Doller Store業界」と呼ばれています。
2011年から2016年までの5年間の成長率は3.6%、2020年までも成長率3.0%を保ち続ける
業界であると予測されています。
そしてこのアメリカのDoller Store業界へ、2005年に海外(米国)進出を果たした
日本の100円ショップ最大手のダイソー(大創産業)。
2005年にシアトルに米国1号店を開店後、シアトルに6店舗、サンフランシスコに10店舗、
そしてロサンゼルスに29店舗と、西海岸を中心に店舗数を拡大してきました。
特にここ数年は店舗数を急増し、西海岸以外では初となるテキサス州ダラスにも
進出し今やアメリカでばく進といえる成長を遂げています。
ダイソーがこのように成功を遂げてきた勝因は、アメリカ特有の人種の多様性を理解した
ターゲティング戦略と競合の1ドルショップとは異なるポジショニングにあるようです。
アメリカ特有の人種の多様性を理解したターゲティング
特に店舗数の多いロサンゼルスは、特に他の地域以上に人種の多様化が進む地域です。
しかも白人系、アジア系、ヒスパニック系…等、人種別に集まる地域が集中しているのも特徴です。
なのでどこのエリアに出店するかによってターゲットとなる人種が全く異なってくるのです。
ダイソーはまず初めに日系企業が多く集まるアジア系の方が多いエリアに着目しました。
そしてこのエリアでの出店は成功を果たしました。これを機に徐々に店舗数を拡大し
ターゲットとなる人種も拡大していきました。
ただ、成功の要因はターゲティング戦略だけではありません。
多様な人種にウケる差別化戦略も強みとなりました。
競合とは似て非なる、絶妙なポジショニング
日本では昔から100円ショップというと真っ先に名前が思い浮かぶ「ダイソー」ですが
アメリカでは違います。そもそもダイソーがアメリカ進出した頃から既にアメリカでは
1ドルショップがいくつもあり生活に根付いていたそうです。
ですがアメリカの1ドルショップというと・・オール1ドルで、品質は安かろう悪かろうでした。
そこでダイソーは日本特有の品質重視&商品によっては1ドルではなく
2ドルや3ドルの商品の展開しました。その結果、「いわゆるアメリカの1ドルショップもりも
品質が優れ、他の生活雑貨よりも安価なショップ」という特殊なポジションを築いていきました。
そして、それはアメリカ人にとって高品質なものを信じられない価格で手に入れられるという
新たな価値を生みました。
日本人からすると、とはいえ100円ショップなのに300円のものが売っている・・
(日本にも300円ショップなどもありますけどね!)というと、
少し違和感を覚えますが、それであってもアメリカの他の競合店と十分争えほど、
品質の差があったようです。
次の第二章では、実際にアメリカで暮らしていた方でダイソーをよく利用していたという方の
話をご紹介いたします。