これまで多くの企業の海外進出の実体験を取材してきました。
今回はフリーランスの翻訳家として海外へ渡航されたことがある方の貴重な体験談をお伺いしました。
法人ではなくフリーランスとして・・また違った苦労があるようです。
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私はフリーランスとして日英翻訳業に長年携わっております。
今は色々な経験を経て日本を拠点としていますが
これまでにも何度かニューヨークを拠点としたことがあります。
アメリカに渡航する前の私は、英語が堪能だったのもあり語学は問題なし、
スキルも日本で培った実績・コネクションがあるから
アメリカでも十分やっていけると思っていました。
翻訳業という性質上、クライアントは必然的に日本企業に限定されるものではなく、
タイミング如何によっては、依頼数のうちの大部分のパーセンテージを海外クライアントが占める機会もいくつかありました。
フリーランスの翻訳家というものは、わざわざ事務所を抱える必要もなく、パソコンさえあれば成立する業態です。
ある程度コネクションさえ培うことができれば、勉強がてら海外に居を移すことも可能で
そういった簡単な理由から夢を持って海外進出を決めました。
ですが、行ってみて当初の想定と異なることも当然ですが多々ありました。
一番の衝撃は、一度獲得したコネクションも、現地の人間からすれば
「日本に居住しているからこそ利用価値のある日本人」なのだということでした。
日本では価値があった私のスキルも、アメリカに行くと「ノウハウの少ない現地の素人翻訳家」
となってしまうわけです。
また、税制上の問題をクリアすることの厳しさも学びました。
税制問題というのはアメリカのみで解決することはできず、
日本でも手続きが必要な場合もあり、その対策のためだけに
何度か日本とアメリカを行き来しなくてはならないなんてこともありました。
企業という形態、法人という土壌をしっかりと設立すればまた可能性は格段にあがるでしょうし、
新規に仕事を獲得するにあたっては、一定程度の資本力という見栄えも必要でしょう。
また、現地の税制や法律に詳しい方のサポートがあればまた違った結果もあったことでしょう。
フリーランスとして単身渡米することの困難さを知る良い機会となりました。
現在は、日本の翻訳請負業をしている企業との契約を継続的に結ぶというベースを培い
日本とアメリカを半分ずつの割合で行き来しつつ、
現地でフリーランスの活動の幅を広げております。
海外進出という魅力をより確実な現実とするには、
現実的な土壌作りを抜きにしてはならないということです。
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