ここ最近、海外進出を果たす様々な日本食について
記事を書くことが増えています。
今回は、これまた少し意外な日本の食べ物についてお話します。

十数年前まで、日本文化に興味を持つ外国人とも言えども
観光客にしろお土産にしろ、渡して喜ばれる和菓子は
干菓子と言うのが常識でした。
干菓子の繊細な表現やメレンゲのような砂糖菓子の味は
すぐ理解してもらえ評価も高かったのです。

日本人の甘党からすると、様々な味や形に加え
季節感がある和菓子の世界はとても誇れるのもので
ぜひ食べる事を勧めたくなるものでした。
しかしこれが外国人にはすこぶる評判が悪かったのです。

日本以外の国で、特に西洋圏では「豆が甘い」という味について
全く信じられないことで理解されなかったのです。
当時のTV番組でも、観光客に和菓子…特に練り餡系のものについては
見た目は褒めるけれどその味については一様にわからないか好きでないという返答でした。
見た目も美しく、こんなにおいしい味が解らないなんて、もったいないと思ったものです。

ところが近年アメリカを中心に世界各国で、なんと“たい焼き”がブームとなっています。
チェーン店がいくつか展開するようになっています。
しかもちゃんと餡が入ったたい焼きが好まれているのです。
たい焼きが餡のおいしさと共に海外進出を果たしていたのです!
もちろんアメリカらしく、チーズやベーコンといった食材も使われていましたが
たい焼きの型は日本製のオーソドックスなものでした。

浅草のたい焼き屋さんで買ったつぶあん入りのたい焼きを
とてもおいしいと言ってほおばる外国人観光客の姿は
もはやこちらの方がカルチャーショックでした。
豆が甘いと和菓子があまり好まれないのになぜでしょう?

このたい焼きブームを起こしたのは、
日本のアニメ「Kanon」のたい焼きをおいしそうにほおばるシーンと言われています。
そして日本人同様、やはりたい焼きの魚の形はかわいくおいしそうに思うようです。
アニメが普及し幼い頃から日本のアニメに触れることが増えた米国の子供は
成長過程に目にするものが同じ物になったためか物に対する感覚が似てきたのかも知れませんね。

そしてチェーン店化したたい焼き店は、案の定別の形態に変わりつつあり
人気のソフトクリーム屋さんとして変化しつつあります。
香港の金の鯱鉾のようなアジアンチックな大きく開けた魚の口に
ソフトクリームを縦に大きくぐるぐると積み上げるたい焼きが最近では人気です。
そしてこれらは最近日本でも徐々に目にするようになっています。
日本から海外へと進出していったたい焼きが、形を変えて日本に逆輸入をしているようです。

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