日系の飲食店のカナダ進出をお手伝いした経験があります。その店舗はフランチャイズでの海外進出で、カナダへ店舗を出店しました。私はマネージャーとして、その店舗の進出に携わりました。
まず、オーナーがこの飲食店のカナダ進出をしようと思ったきっかけは、カナダの都市では、アジア人(特に中華圏からの移民)の人口比率がかなり増えています。そのアジア圏からの移民は比較的富裕層が多いことが特徴です。その方々の間で、日本人経営の居酒屋やスイーツショップ、お寿司やさんなどがブームになっていて、十分な需要が見込めると思い、カナダ進出を決めました。また、アジア系移民だけではなく、カナダ人の間でも日本の居酒屋やお寿司やさんなどはとても人気なので、人気が出ると自信があったようです。
その店舗の立ち上げにあたって、いろいろ困ったことがありました。まず、カナダ現地の業者の作業が大変遅いことです。店内の改装や機械の設置などはすべて現地の業者に頼んだのですが、なかなか計画通りに進むことがなく、数日、または数週間遅れで作業が完了するといったことがよくありました。また、時間や日程に関してもルーズなことが多く、予定通りの時間に業者さんが来ないこともありました。カナダの冬は雪も降るので、工程が天候に左右されることもありました。そんなことがいろいろ重なり、当初こちら側が予定していた店舗の完成予定、店舗のオープン予定がかなり遅れてしまいました。
また、人材の確保も大変でした。日系の飲食店なので、最初は日本人を中心にアルバイトやマネージャーを雇おうと思っていました。しかし、現地にいる日本人は、ワーキングホリデー(1年間カナダに滞在することができるビザ)や語学学校に通っている学生さんが多く、みなさん一定期間を過ぎると日本へ帰ってしまう人が大半でした。ですので、トレーニングをして、一人前に仕事が出来るようになったと思ったら帰国日が近くなっているということがよくありました。永住されている日本人の方を雇うことができればよいのですが、カナダに永住している日本人がそもそも多くなく、人材を見つけるのが大変でした。
日本からの海外進出は大変なこともありましたが、十分に需要があるので利益が見込めるビジネスだと思います。