(1) 高齢化社会から人口減少社会へ

日本では、急速な少子高齢化が課題となっていますが、これからはそれに追い討ちを掛けるように人口減少が進行します。
こうした社会背景の中で、日本が元気に生きるためのヒントを考える必要があります。
産業界は、こうした社会背景を踏まえて、根本的に考えを変える事が必要です。

(2) 電機業界に見るヒント

日本を支える産業は、時代と共に変化し、最近では少し前まで花形であった電機業界が、大きな変革の渦にさらされました。
無線や音響、映像機器には余りにも多くの企業が参入し、こうした機器がデジタル化によるコモディティー化で国際価格競争に次々に破れたのです。
その一方で、内需を中心とした白物家電は堅調で、利益を確保出来ているのです。

ここにも、ヒントがあります。コモディティー化する事のない製品を、やみ雲に数量を追い求めずに利益を確保する経営を考える事です。

しかし、内需中心では人口減で、需要はジリ貧です。
それをカバーする為の輸出や海外生産でグローバル市場をじっくりと拡大する必要があります。

急拡大ではなく、日本製品の良さが認識されるマーケットをグローバルにじっくりと育てながら拡大するのです。

(3) 過当競争の排除

内外需を一気にターゲットとし、不毛な価格競争に巻き込まれる事なく、自社の得意とする分野を集中深耕し、自社製品の価値を高め、価値を買ってくれる市場を攻める必要性があるのです。

競合メーカーは、他社の力を認めて勝てない勝負に突き進まず、得意分野の分業体制を自然と構築する事です。

(4) 国際分業と日本製品のグローバル拡大

知恵を集積し、付加価値の高い製品に特化し、それをじわじわと拡大する戦略は、TPPでゆれる農産物にも言える事です。

例えば、関税が下がれば、輸入米も増えるでしょう。しかし、月並みな品質の米は、いわばコモディティー化されたデジタル機器と同じです。

これを防ぐ為に、米作を補助金で保護するのは、やはり問題です。
輸入米も増えるかもしれませんが、美味しくて安全な米を日本食と共に、世界に販売し、輸入による落ち込みをカバーする事を実践すべきです。輸入米がなくても、やがて人口減で内需は減少する事は避けられないのですから。

中国や東南アジアが豊かになれば、日本の高級米の需要は増大します。
なんちゃって日本食ではなく、本格的日本食を世界に広める中で、日本の米のグローバル需要を創造して行くべきなのです。

(5) 長く長くひたむきのこの仕事が教える事

日本には伝統的な産業が多くあり、そこには長く長くひたむきにこの仕事を追い求めて来た老舗企業があります。

人口減少社会では、どんな先端産業でも、長く生き残れる力のある企業をお互い認識し、そうした企業によって、その産業が伝統産業となれるだけ、磨き続ける必要があるのです。

究極の日本の産業構造は、伝統的な産業から、先端的な産業まで、過当競争ではなく、グローバルに生き残れる企業が、長く長くひたむきにこの仕事を行う事ができる状態にする事ではないでしょうか、、、。

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