仙台市の街中の、ビルの一室に、その工房はあります。
名前は「大橋堂」。
銀座の有名な文房具屋でも置いていない、けれど万年筆の業界では知らない人はいない場所。
ここでは、あの万年筆を全て1から作っています。工芸品なら、1から手づくりもイメージできますが、どちらかというと工業製品よりな万年筆を、手づくりで行う姿はとても興味を引きます。
実際に大橋堂の工房を見学させて頂いたのですが、足踏みの横向きろくろのようなものに、万年筆の軸となるエボナイトという素材を回転させて、それに刃をあてて丁寧に削りだしていきます。ふたと軸をしっかりねじで締められるのですが、削りだしたそれぞれのパーツがぴったりはまった瞬間は感動ものでした。
基本的にはオーダーメイドで、まず筆跡や筆の持ち方を観察してどういった万年筆にするかを一緒に考えてくれます。
素晴らしいのは、一度売った万年筆は、生涯メンテナンスを行ってくれることです。
商品開発の競争が進むものづくり業界ですが、作り手としっかりとコミュニケーションが出来て、なおかついつまでも面倒を見てくれるところはなかなかありません。
全国各地の百貨店などで、作る様子などデモンストレーションなどをして足を使って売りにいく姿勢も素晴らしいです。その際に、昔買ってくれた人が訪れてメンテナンスを頼んだりするそうです。
伝統工芸と工業製品の間を、技術や思想など様々な面でつないでいる大橋堂の万年筆、使ってみたいと思いませんか?