現在オーストラリア在住です。これまで海外で暮らしたことはなかったので、日本を外から見るということはありませんでしたが、この国に暮らしてみて改めて日本の技術の素晴らしさを実感しています。日常使う生活用品にしても日本で買えばとても安く買える物が、こちらでは3倍から4倍の値段がする上に品質は粗悪です。日常の生活用品にしてこのありさまですから、電気製品などは推して知るべしです。

オーストラリアでも日本製品の人気はとても高く、みなさん「日本のものはとてもいい」と認めています。ただ値段がとても高いので、なかなか日本製品には手が出ず、似たような名前の中国ブランドや韓国製品でお茶を濁しているのが現状です。

ただ私が不思議に思うことがあります。 例えば今日本でも「純粋な日本製品」というのはなかなか買うことはできません。電化製品にせよ、生活用品にせよ、殆どのものが “Made in China” です。 こちらでも殆どの製品が中国製なのですが、同じように中国で作っていて、これほどまでに品質が違うのかなと首をかしげたくなります。多分日本企業が作っている製品で中国で作られている物は、仕様や製造方法に厳しく日本企業の指導が入り、品質を一つ一つチェックしているからこれだけのクオリティを保てるのでしょう。 同じ中国製品とは言っても、日本企業が作る中国製品はオーストラリアで売っている中国製品とは全く品質が違うのです。

私たちは日本の「日常使う物はきちんとした品質で当たり前」という文化の中で育ってきましたので、今ここに来て、これまで当たり前と思って来た日常がどんなに恵まれていたのか、実感しています。現在オーストラリアでも家電や携帯電話などは、韓国製品に押され気味です。オーストラリア人も品質では日本製品が一番ということは分かっているのですが、やはり値段が高いので、日本ほど品質はよくないけれど、そこそこのクオリティで手軽な値段の韓国製品の方に流されている、といった感じでしょうか。

私はこのような事態に非常に危機感を覚えます。日本はこれまで高い技術力で世界をリードしてきました。これからももっと革新的なアイディアで、どんどん新しい技術を世界に発信していくと同時に、今の日本製品の価格帯を少し下げる努力をして、世界の製品の中に占める日本製品のシェアを、もっと拡大していくべきだと思います。

日本の中小企業の中には、非常に高い技術力を持って活躍している企業がたくさんあります。オーストラリアの場合は国民気質からか「細かく物ごとをつきつめる」ことが苦手です。従って細かい作業や一つ一つ積み上げて行くような作業はあまり得意ではありません。 ですからこの国民性の違いを活かして、日本人が活躍する場所はたくさんあると思います。

オーストラリアは資源大国ですので、資源を輸出して優れた製品を海外から購入するという形式を取っています。 ですから日本の技術力を売り込む市場として、オーストラリアはこれからとても有力な候補になると思います。様々な展示会などをオーストラリアで開いて、日本の技術力をアピールして製品輸出につなげてはいかがでしょうか。

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