投稿日: 2021年03月13日

(米子東) 高校同期が「最終講義」を行う…
と、グループメールで案内がありました。

講義を行うという、その「彼」とは、
高校時代に同じクラスになったこともあり、
名前はよく覚えていた。

思い返せば…
まさかのコロナの少し前…
日本滞在時の2019年の11月9日…

翌日には京都賞への参加予定だった。
でも、東京→京都
の旅の途中に
「少し時間があるから…」と
品川駅から、幹事さんに電話を入れてみました。

関東の米子東高校のOB会「米城会」
総会・懇親会に
予定外の飛び入り参加。

その懇親会で、
ほぼ半世紀ぶりの「彼」との出会い!

顔を見るなりすぐ分かった。
まさか…と、驚いたが、

彼の方も
少なくとも見かけは
すっかり変わっていた…はずの
私を覚えていてくれていた。

受け取った彼の名刺は…

黒田一幸
早稲田大学教授

その席で、特に何を話したかは覚えていない。
でも、とにかく懐かしいと思ったことだけは確か。

その彼が、今回「最終講義」を行うそうだ。

本来は、
大学関係や研究に携わってきた人達向け
の講義のところ、

特別に、
私たち、高校同期生にも
門戸を開いてくれたとのこと。

大学の講義を受講する等、
これまで考えもしなかったこと。

これもコロナのもたらした
ポジティブな側面だろう。

演題は、
「無機合成化学研究を振り返って」

理解することなど、
不可能であるにしても

同じ 少年時代を
同じ ふるさとで過ごした人が、
どのような晴れやかな舞台を演じるのだろうか…

そして、
高校卒業後の半世紀の彼の「歩み」を
これまでの50年の私の「自分史」と対照し、

「あー、その頃、自分はこうしてたなぁ…」
など、思いを馳せながら
聴講してみようと思った。

日本時間3月13日(土) 午後4時30分 開始
シカゴ時間では 午前1時30分。

それにしても…
「無機合成化学研究」

何かセラミックと関係があるのかな〜

セラミックス=京セラ
の印象がとても強い者にとっては
どこかでつながりがあるかもしれないと
思ってはいました。

専門用語のオンパレード…

無機有機交互共重合体の合成
ケイ酸塩
有機溶媒THF
オリゴマー合成
ボトムアップナノシート合成…

が続きましたが、
「合成は化学の華であり礎」
との言葉。

「化学」に限らず、

合成生物学、デジタル医療、ナノテクノロジー
量子コンピューター、ブロックチェーン、センサーロボティクス、
人工知能、、ゲノミクス…

これから先の技術革命…
その無限の発展と可能性を期待させます。

事実、今回の講義の中で、
下記説明がありました…

「社会的ニーズ」と「材料科学」について…

薬と健康
エレクトロニクスとデバイス
環境とエネルギー

● 単色X線とナノ粒子を組み合わせた
新しいがん治療技術

● 触媒によってレタスなどの野菜が新鮮さを保つことで
Food Loss問題にも解決の糸口

さすがに大学教授…
数々のAcknowledgements

文部省(MEXT)
科学技術振興機構(JST)
日本学術振興会(JSPS)
新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)
多くの研究助成財団
各産業界

でも、とうとう「京セラ」は出てきませんでしたが、
彼の、さらっと口にしていた言葉。

「一隅を照らす」

この言葉は、
盛和塾の「機関誌」
にも頻繁に登場する言葉。

稲盛さん…

たとえどんなに小さな企業でも構わない。
些細なことで結構ですから、

その経営を通じ、
世のため人のために尽くし、
自分が生きている価値を、
この地球上に足跡として残して死ぬべきだろうと
私は考えている。

そして…

たった1回しかない人生を、
素晴らしい仕事をすることを通じて、

従業員や家族はもちろん、
社会のために、
世界のために、
地球のために なるよう、

それぞれの立場で努めていくのです。
それは まさに「一隅を照らす」ということです。

そういう志を持って、
その志に向かって研鑽し、
努力を積むことが
人生では最も大事なことだろうと思っています。

更にこの言葉
「一隅を照らす」に付いては、

たまたま前日の夕食時、妻が、
「このお話良かったよ」と
ビデオを見せてくれていた。

「中村哲の声が聞こえる」

という番組。

2019年12月4日、
アフガニスタンで銃弾に倒れた人。

「医師」でありながら、
壮絶な環境の中、地元住民のために
用水路建設など農業支援した人。

この中村哲さんの好きな言葉が

「一隅を照らす」

大事なのは、
与えられた場所でいかに力を尽くすか…
その時、その時の仕事に全力で取り組む。

+++++
黒田教授は、その結びに、
「散歩のついでに 富士山に登った人はいない」
(後藤静香 少年倶楽部 昭和5年1月号)
を紹介。

これもまさしく稲盛さんから
私たちが、繰り返し繰り返し教わっている
経営と人生の要諦。

「思う」と「こころ」

目には見えない、
しかし、
とてつもなく大きな存在…

「思いは実現する」

「人間は思いの主人であり、人格の制作者であり、
環境と運命の設計者である」

「人間の心は庭。
心の手入れを怠ってはならない」

「経営者にとっての一番の課題は
『強く思う』ということ」

…本当に不思議なもので、
本気で思い続けると、
風向きが変わり、
その方向へ進んでいきます。

反対に思いが不足している時は
どうしても上手くいきません。

つまるところ、
心の中で思いこむ事が
物事を成就するのに一番大切。

目的に対して使命感をもってあたっていけば、
不可能と思われるようなことも、
達成できることが証明されています。

自分にはムリだと思いやれないのは
そもそも思いが足りない、

使命感や責任感、熱意が足りていない…

心に抱く思いにはエネルギーがあり、
強ければ強いほど成功する。

仕事全てに対し恐ろしいほど気を込め、
注意力を集中し、毎日ど真剣に取り組む…

どれだけ強く思っても
思いすぎる事はありません…

などの言葉が続く。

+++++
上記「思い」に付いて、

黒田教授の体験、体感した、
自らの化学一筋の生き様…
おそらく
羅針盤となった言葉…

「散歩のついでに富士山に登った人はいない」

を下記シェアします。

+++++
富士山に登った人間は、登ろうと思った人間だけが登ったのです。これは余りに分かりきったこと、しかもこれが大真理です。富士山に登った者のうち、只一人でも『散歩するつもりでつい登った』という人もなく、『阿蘇へ登るつもりで、いつか富士に登りついた』というような人も絶対にありません。

富士山に登ろうと思いながら途中で故障を起こした人があったかもしれません。しかし、ともかく、登った人は誰でも、一度は必ず登ろうと決心した人に決まっています。

富士山に登る時、五号目が半ばではありません。五合目まで登れば、病気にでもならない限り、登りつくに決まっています。そんなら三合目か、二合目か、一号目か、どこが半ばか…。私は断言します。富士山に登ろうという決心のついた時、その人はすでに、富士登山という仕事の半分以上を成就しています。

形においては、登ろうと決心した人も、しない人も同様です。見かけは違いません。しかし実際は大変違っています。決心がつくと、その人は毎日の健康に気をつけます。風邪もひかないよう、お腹もこわさないよう、どんな小さい事にも気をつけます。そうしてぼちぼちと登山用の品々を準備します。けれども登ろうという気のない人は、旅費も用意しません。支度はもちろん整えません。健康にもそれだけの注意は払いません。登ろうとする人と登ろうとしない人の心持ちと態度には、随分の違いができています。それだから、いよいよ登りかけたその時よりも、登ろうと決心のついた時、既に半分以上の進行をしていると申すのであります。

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黒田一幸

https://www.chem-station.com/chemist-db/archives/2014/09/-kazuyuki-kuroda.php

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