投稿日: 2023年01月19日

.「SAM」登録

米国の連邦政府関連組織とビジネスを行っている者、会社であればおそらく馴染みのある話だと思う

SAM = A System for Award Management

SAM登録は「連邦政府の契約に入札し、支払いを受ける、または連邦資金を受け取るすべての事業体に必要」とあり

営利企業、非営利団体、政府契約者、政府下請け業者、州政府、および地方自治体などが含まれるそうだ

そしてこの登録は1年間しか有効ではない…毎年更新する必要がある…実は私はこれを怠っていたが故に、今回、大変厄介な手続きを繰り返す必要があった

確か2、3年前、やたら面倒な資料提出や情報提供を求められていたことを思い出す

 

この度、ローレンス・バークレー国立研究所 からの受注に際し、SAMの登録切れを指摘され、去年暮れからその更新手続きを要請されていた

公証人 (Notary Public)の認証付き資料提出に始まり、会社のサービスや商品提供の詳細をレポートするのだが、「微に入り細に入り」があまりに多いと感じるQ&Aに答えていく必要がある

こんなに手間暇かかるくらいなら「もういいや…」と途中で投げ出したくなるほどに…

一万ドル未満の受注なら不要なのだが、この度の受注予定額はあいにく少し超えていた

やや多忙だったこともあって、「後で…」と日延べにしてきていたのだが、年末になって別の国立研究所からも同様の要請があり
待ったなし…
重い腰を上げることになった

両研究所は共に
アメリカ合衆国エネルギー省の管轄下

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●ローレンス・バークレー国立研究所 Lawrence Berkeley National Laboratory…カリフォルニア大学バークレー校の所有地内…物理、化学、生命科学、コンピュータ・サイエンス、エネルギー工学、ナノテクノロジー、環境工学などの広い分野にわたって研究

●オークリッジ国立研究所 Oak Ridge National Laboratory…テネシー大学とバテル記念研究所が運営…基礎研究から応用の研究開発まで、多方面にわたって活動している。クリーンで豊富なエネルギーの研究、自然環境の保全の研究、安全保障に関する研究
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幸い、前回登録手続きをした時のデータが残っており、商品やサービス内容のコード番号をそのまま採用したのにもかかわらず、今回は一部拒否された

みると直接、間接的に国防に関する製品や技術に関する規約が細かく記載されている…ここで身をもって現下の緊迫した世界情勢の一端を感ず

もちろん、武器弾薬に関わる内容とは全く無関係の民生品を取り扱っているのだが「間接的」となると非常にわかりにくい…ハイテク製品技術が軍用に転用される事は想像に難くない

このような煩雑、かつチャレンジングな具体的認証プロセスを通じて、米国にとっての、生真面目な「日本」という曲がりなりにも「友好国」からの製品…「Made In Japan」であることに胸を撫で下ろしつつ、いささか「日本発」に誇りを感じた

正直、この時ばかりは、ビジネスとわが家族の暮らしを長年支えてもらってきたこの国.…「身勝手でやんちゃな」この国に対する諸々の恨み節も忘れてしまう…

翻ってこの点、「かの国」への日本進出企業の現下の微妙な状況のことを思った

予測される重大な局面の際、きわどい経営判断が求められることになるが、これまで同様、果たして曖昧戦略を押し通せるだろうか…

米中対立のハザマにあって「曖昧戦略」を取らざるを得ない事情…これまでは、それでも良かった…でもこれからは…旗幟鮮明にする状況がますます強くなりそうだ

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折しも今年に入って早々に、西村経済産業層が米国へ訪問

安倍氏の意思を継ぐ趣旨の講演を行い
特定する国名はあえて挙げなかったが、明らかにかの国等を念頭に、経済的相互依存が世界のリスクを増大させた…

この経済的相互依存が世界を平和にするという考え方は冷戦後の「幻想」である…
とした

今や一般国民にもいやというほどに伝わリ得たと思うが

⚫︎新型コロナウィルスの感染拡大
⚫︎ロシアのウクライナ侵攻

ほぼ起こり得ないと考えられてきたことがある日突然襲い掛かって来る…
その警鐘、学ぶべき教訓として

(1)政治体制としての権威主義が依然として強固に存在
(2)経済成長により得られた豊富な資金と高度な技術が権威主義的なルールの下では外交や軍事に利用されていること
(3)経済安全保障の重要性

を掲げていた

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「想定外」は常に起きる…
流行病、戦争、大災害…
歴史的にみても明らかだ

台湾有事は? 尖閣は? 沖縄は? 北海道は?
自分の人生を全うする中でこの先
「それはない」と言えるだろうか…

今年から来年にかけてという人もいる位だ

「SAM」登録の話から飛び火してしまったが…

契約更新等、様々な局面において
ある日突然、二者択一の選択をせまられることも多々遭遇するだろう…否、今やせまられつつあるのに、気がついていない「ふりをしている」だけかもしれない

自分事…ミクロ的に思うのは
ビジネスのベースはやはり
個々の担当者同士の人的つながり

…人と人との関係
会社・組織間の信頼関係
によるものであり

日々相手の顔や息遣いを感じての営みは致し方なく、避けようがない
そう思うと身動きが取りづらくなるが…

その個人的感情は抱きつつも
事業を行う者には、否が応にも上述の政治・経済情勢を注視しその認識も研ぎすませつつ、マクロ的思考に基づいた判断が随所に求められる

その使命と覚悟が要求されるという
ある意味辛く厳しい役回りだが、それをむしろ意気に感じ、乗り越えたところの達成感にこそ至福の喜びを感じる…

仕事を通して
暮らしを通して
人生を通して…

安心安全 を希求しつつも
安心安全 への執着と誘惑を乗り越える…

ということになろうか…

 

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